Snow Manの強さは「売り方が1つじゃない」こと
Snow Manの話題は、どうしても「CDが強い」「ドームが埋まる」に集まりがちです。けれど音楽業界コラムとして見て面白いのは、売上の作り方が“単線”ではないことです。
オリコンの年間ランキングでは、Snow Manが期間内売上203.9億円を記録し、2年連続でアーティスト別セールス1位になったと報じられました。
数字のインパクトが大きいほど、「フィジカル最強」の一言で片付けたくなります。ですが、この結果は“CDだけ”に賭けたというより、いくつもの入口を重ねた総合設計として捉えるほうが実態に近いはずです。
フィジカルの強さは「商品」ではなく「体験」の設計
フィジカルが売れる理由を、特典の豪華さだけで説明すると浅くなります。Snow Manの場合、CDや映像作品は「買って終わり」ではなく、ファン体験の一部として機能しやすい。
ライブ・バラエティ・YouTube・SNSで“見たい瞬間”が増え、その延長線上に「持っておきたい作品」が置かれる。購入はゴールではなく、体験の“保管”や“追体験”に近い。だから、同じ作品でも「複数形で買う」行動が起こりやすいのです。
この「体験をパッケージ化する」設計は、ストリーミング全盛の今でも強い。むしろ、サブスク時代にフィジカルが売れるのは、音源そのものよりも“関係性の濃さ”が価値になるからです。
サブスク解禁は「既存ファンの満足」より「新規の入口」
2025年4月、ベストアルバム『THE BEST 2020 – 2025』がストリーミング&ダウンロード配信され、全61曲が聴ける形になりました。
これは既存ファンへのサービスに見えて、実は新規導線を太くする一手です。
サブスクは、初めて触れる人にとって「試食」に近い。プレイリストで出会い、気に入った曲から深掘りし、次に映像、そしてライブへ進む。Snow Manは“入口を増やすほど強い”構造を持っています。
特にベスト盤の配信は、ディスコグラフィーを一気に渡せるのが強い。おすすめ・自動再生など、検索以外の経路からも入りやすくなります。ここは、今後の音楽業界全体でも「ベスト盤の再定義」として参考になりそうです。
YouTube生配信が示した「無料=損」ではない発想
2025年12月、ドームツアー「Snow Man Dome Tour 2025-2026 ON」福岡公演の一部を、YouTubeで生配信すると公式が告知しました。さらにYouTube公式ブログでも“独占ライブ配信”として紹介されています。
ここで重要なのは、「無料で見せたら、現地チケットや円盤が売れなくなるのでは?」という古い恐怖を、戦略で上書きしている点です。全部ではなく“一部”を出すことで、体験価値の中心(会場の熱量、全編の流れ、現地の一体感)は守りつつ、外側の人には「見たい理由」を渡せる。
無料配信は、チケット販売の代替ではなく、次の行動を生む“投資”のように働きます。
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次の公演に行きたくなる
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サブスクで曲を聴き直す
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映像作品を探す(“あの瞬間を何度でも”の需要が生まれる)
この循環が回ると、無料はコストではなく投資になります。しかもYouTubeは海外からの視聴も自然に混ざる。国内市場の天井を上げる手段としても、見逃せません。
「数字が強い」だけじゃなく「話題の置き場所」が上手い
Snow Manが強いのは、売上や動員の“結果”だけではありません。話題が生まれる場所を、複数持っていることです。
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フィジカル:作品として残る、所有の満足が大きい
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サブスク:いつでも触れられる入口、ライト層に届く
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YouTube:無料で火をつける、拡散と初動を作る
この3つを並列に置くと、どこか1つが弱っても全体が崩れにくい。音楽ビジネスで怖いのは「一本足打法」ですが、Snow Manは“入口の分散”でリスクを下げています。
だからこそ、年間セールス203.9億円という大きな数字は、単年のヒットというより、仕組みの強さとして理解したほうが腑に落ちます。
フィジカル×配信×無料露出で回る、Snow Manの売上モデル
Snow Manの年間セールス203.9億円というニュースは、CDが売れにくいと言われる時代でも“売れる仕組み”が作れることを示しました。フィジカルの強み、配信で入口を広げる動き、無料露出で熱を循環させる流れを並べると、数字の裏に戦略が見えてきます。
203.9億円というニュースが“業界ネタ”になる理由
オリコンの記事では、Snow Manの203.9億円が自己最高で、2年連続の1位であることに加え、令和にデビューしたアーティストとして期間内売上200億円超えが史上初だと伝えています。
これは「一部の熱狂」ではなく、市場の中で確実に“規模”になっている証拠です。
ここが面白いのは、音楽市場の主戦場がストリーミングに移りつつある中で、巨大な売上を作る方法がまだ複数あると示している点です。
つまり、アーティスト側も受け皿(レーベル、流通、配信プラットフォーム、会場、メディア)側も、「どこで利益を回収するか」を1つに固定しなくていい。
だから、Snow Manの数字は“すごい記録”で終わらず、
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フィジカルの価値の作り方
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配信の使い方
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無料露出(YouTube)の投資対効果
という3本のテーマに分解できて、音楽業界コラムとして伸ばしやすいんです。

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